重厚材料用の電気スラグ溶接
電気スラグ溶接(ESW)は、厚板や重厚材を一回のパスで接合するために特別に設計された高度な溶接プロセスです。この非常に効率的な方法では、電気抵抗加熱と溶融スラグ浴を用いて、強度が高く深く浸透する溶接部を形成します。このプロセス中、溶融スラ浴は熱源としての役割に加え、保護媒体としても機能し、大気中の不純物から溶接部を遮断しながら一定の温度を維持します。このプロセスは、まず初期アークによってフラックスを加熱し、導電性のスラグプールを作ることで開始されます。溶接が進行すると、電流がスラグ中を通過し、抵抗による発熱で母材と溶加線を溶かしていきます。この方法は、厚さ1インチから12インチの材料に対して特に有効であり、重工業分野での応用に最適です。ESWの垂直姿勢での溶接と特有の冷却パターンにより、優れた機械的特性を持つ均一な溶接組織が得られます。この技術は、造船、原子力発電所、大型圧力容器の製造における重厚構造物の製作を革新し、従来の多層溶接技術と比較して大幅な時間とコストの削減を実現しています。